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実験映画墓参り

◆Blow Job (1964年) - Andy Warhol


 映画監督としてのウォーホルは、男が食事している様子だけを45分映した『Eat (1963年)』とか、男が眠っている様子だけを6時間映した『Sleep (1963年)』とか、エンパイア・ステート・ビルだけを8時間映した『Empire (1964年)』などの作品を残しています。
 ジョン・ケージのように「表現とは何なのか」「果たしてこれだけの映像でも映画だと言えるのか」ということを問いただしたかったのだと思いますが、今ではこんな作品のことは誰も覚えてないし、誰もまともに見るはずがありません
 しかし、1964年の『Blow Job』は今見ても単純に面白い映画だと思います。タイトルの通り、ブロウジョブ(フェラチオ)をされている男の上半身を映すだけの映画ですが、この射精表現(2:50ごろ)がいいんですよ。恍惚の表情とともに画面がホワイトアウトするという、現在の日本のエロゲにも通ずるようなエフェクトがなされていて。草創期のエロゲ業界のひとたちがこの映画を見ていたのかはわかりませんが、その辺をこじつけて見るとなかなか面白いんではないでしょうか。
 ウォーホルのことなので、フェラしているほうも男性なのだと思いますが、局所が隠されていることで色々と想像が膨らむのもいいですね。



◆燃え上がる生物 (Flaming Creatures ・1963年) - Jack Smith



 映画監督兼俳優であるジャック・スミスによる悪名高い映画。ジャックはケン・ジャコブスの『くたばれ星条旗 (1957年)』や『ブロンドのコブラ (1963年)』、ウォーホルの『Batman Dracula (1964年)』や『Camp (1965年)』などに俳優として出演しています。
 『燃え上がる生物』は娼婦のおっぱいやドラァグクイーンのちんこといったあられもない映像をあられもなく映し出した映画で、すぐにその猥褻性が問題となり、ベルギーでの第三回国際実験映画祭での上映も打ち切られ、1964年6月18日には猥褻物であるとの評決がニューヨーク刑事裁判所で下されました。この映画を公開しようと努めて逮捕されたジョナス・メカスは、「『燃え上がる生物』を作品全体として理解する試みをせず、あるいは問題の局部の真の意味を理解する試みをせず、全体の脈絡から抽出した二、三のイメージによってわいせつと考えるとは、実に視野の狭い、幼稚な、無知なものの味方である」として地域基準での芸術弾圧を非難しています。もちろん表現規制が進んでいる現代の日本でもこれはまったく他人事ではないですが。
 猥褻性の議論云々を抜きにしても、美男美女のちんこやおっぱいが勢いよく乱舞するというだけで最高に楽しい映画です。一体映画にちんことおっぱい以外の要素が必要でしょうか。当時は規制されて容易に観ることができなかった作品を、現代の我々は家に居ながらにして観ることができるという贅沢が許されているわけです。



◆ブロンドのコブラ (Blonde Cobra ・ 1963年) - Ken Jacobs


 ボブ・フレイシュナーから未編集フィルムを譲り受けたケン・ジャコブスが編集して作り上げた映画。邦題をGoogleで検索しても5秒フラットのあのコブラしか出てきませんが、多分それとは一切関係がありません。作品のテーマは「不適な自己表明によって勝利をおさめていったある人生について」だそうです。
 ジョナス・メカスは『燃え上がる生物』などとともに「ボードレール風映画の傑作」「映画を最高の“呪いの詩”のレヴェルにもっていくほどのすばらしい詩的な力を持った映画」と賞讃し、各地の映画祭に持ち込みました。


 というふうに、60年代アメリカで生まれた実験映画は、今ではYouTubeにアップロードされ、家に居ながらにして観ることができます。様々な批判や検閲を受けて時代に埋没してきた映画たちを2014年の現在に観るというのは、さながら(ケネス・アンガーがバビロンIIの序文に書いたような)墓参りのような趣があります。
 作品そのものが持つ時代性とか、批評性とかといった要素も重要でしょうが、そういったサブテキストからまったく自由になった今でこそ初めて見出せる面白さもあるのだと思います。何の足しにもなりませんが、自分は当分のあいだ墓参りを続けていくつもりです。

 あと、ここで紹介した映画を市販のソフトで手に入れることはほぼ不可能ですが、『Blow Job』と『Blonde Cobra』はムサビのイメージライブラリーを利用すればDVDで観ることができるようです。どうにかして一般にも公開してくれないですかね……アカデミックな連中だけの手に納めておくにはもったいないと思うのですよ。

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