Fevered Egos - Bill Hicks



◆原文

 ところでみんな、今夜はちょっと感傷的なんだ。なぜならこれが俺の最後のパフォーマンスになるだろうからだ。
 いや、フカしてるんでもマジになってるんでも負け惜しみでもなくて、俺はこいつを16年間やり続けてきたんだ。すべての瞬間を楽しんできたよ。
 どの空便も、どの遅延も、どの欠航便も、手荷物をスられたときも、ホテル暮らしも、フイになった人間関係も、ポッサム・リッジやアーカンソーでやったネタも、毎年毎年ほんとに楽しい時間を過ごした。勘違いするなよな。

 でも正直な話、なぜパフォーマンスをやめると決めたかっていうと、秋口にCBSで番組を持つことになったからなんだよな。
(喝采)
 ああ、ありがとう。でもトークショー番組じゃないんだ、これが……
 神よ、感謝します。ブッダよ、ムハンマドよ、アッラーよ、クリシュナよ、書き記されているすべてのクソ神様に感謝します……
 そう、トークショー番組じゃないんだ。毎週30分の番組に出ることになってな。「ビリー・レイ・サイラスをぶっ殺せ」ってタイトルの番組なんだ。

 おお、みんな観てくれるのか? いいね、こいつは公正にして自明の成り行きだね。
 毎週毎週、この地上における才能なしのクソボケが地獄の番犬に狩られる様が見られるんだもんな。ヤツの甘ったるいポニーテールに噛み付いて、地面に跪かせて、ショットガンを死の黒人チンポみたいに銜え込ませるまではな。そして95年からは「マイケル・ボルトンをぶっ殺せ」が放送開始ってワケだ。お楽しみに……

 ありがとう。ありがとうよ。
 俺たちの集合的無意識を汚染し、想像もしえない宇宙的な高位存在へ祈れと強いる病的なエゴを摘出したい。そいつが俺のやろうとしてることだ。テレビ放送を通して、そいつを投げ込んでやりたいと思ってる。

 で、そいつをCBSの人間に話したんだが、こうきた。
「おっぱいは出るのかい?」
 ああ、もちろん……。 その瞬間、小切手は俺のものに。
 さて、もう俺がプロデューサーだ。こんなに楽な仕事だとは知らんかったぜ。俺はいつだって意味のあるお話やキャラクターや筋書や物語を作ろうとしてきたんだからな。わけないぜ。
「そういうのはいいから、おっぱいは出るのかい?」
 あー、ああ、もちろん……うるせえ、俺がプロデューサーだ!
「おお、キミは今まで一体どこで仕事をしてたんだい? 我々はハリウッドでキミのような人材を捜しあぐねていたのだよ。この企画のタイトルは何ていうんだい? 『おっぱいブリンブリン』? キミは素晴らしい天才だな! おい、新しい小切手を持ってきたまえ、キミにはいくら小切手を書いても足りないよ……キミはハリウッドにおける我々の業界の渇仰に答えたんだ、これが感謝せずにいられようか?」

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