やばいくらい -アイカツスターズ!読解集成-

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 災厄から別の災厄へ。本書は『アイカツスターズ!』放送中に書かれた原稿の集成であり、21世紀前半の病を拒絶し「孤独をおそれない」知性を求めた、2年間の思考の記録である。
(全15稿・総計325,117字)
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【目次】
・序:睫毛で書くこと

◎PHASE 1: DISCIPLINE (NOT SHINING LINE)
 藝術による人間の製造。その訓育の担い手たちの姿を学校空間において活写した1年目が紐解かれ、2年目への道具立てが整えられる。

 もし『アイカツスターズ!』が、たんに学校という空間の効果として「製造された」のみではない、「別のもの」になることができる、そういう「個性」だってありえるんだということを描くことができたとしたら、『アイカツスターズ!』は学校というわけのわからない空間に放り込まれてかろうじて生きている彼女ら彼らにとっての、この上ない味方となってくれるでしょう。
「『アイカツスターズ!』の学校観」より


・『アイカツスターズ!』の学校観
・只野菜摘が怖すぎる (『未来トランジット』)
・『Dreaming bird』の変拍子を読む
・札切る後裔(『アイカツスターズ!』の1年間に捧げる7つのリスペクト)
RESPECT1 匠の手つきで火薬庫を造る(シリーズ構成:柿原優子の手際)/RESPECT2 S4選・導火線の走り(タイムリミットの設定とその成果:AS!ep37-50)/RESPECT3 特権的視点の優位の排除(博徒と観衆)/RESPECT4 いばらのショーマストゴーオン(勝負の成立可能性・札切る後裔)/RESPECT5 誤れる父親の姿(諸星ヒカル:勝ち目の見えない盆暗男)/RESPECT6 何度でも生まれ変わる楽曲たち(The song NEVER remains the same)/(DIS)RESPECT7 More than meets the Ai(絵コンテ・演出の多層性)
・「そんなんじゃねーし」の宮殿(『アイカツスターズ!』の恋バナの恋バナ)
「そんなんじゃねーし」の宮殿(かなた→あこ→すばる→ゆめ)/2人のドリーマー(白銀リリィ・虹野ゆめ)/諸星ヒカルの心労を推し量る/Family of The Black Sheep(族長エルザ様)

◎PHASE 2: BEATLESS & HEARTLESS (NOT THINKING ONLY TWEETING)
 自己啓発的思考によって麻酔を打たれ、SNSによって読み書きの能力を剥奪され、もはや自分が何に中毒しているかさえ自覚できなくなっているファンダムの宿痾が診断され、その病が前作『アイカツ!』の試みと背地しないどころか全く同質のものであることが明らかにされる。一方で『アイカツスターズ!』は次々と理路明晰たる成果を収穫し続け、太陽の骰子を振る準備が刻々と整えられる。

 が、私は、もはや加藤陽一の言う「皆で一緒に笑いながら身近な幸せを改めて感じ、明日を信じる力、未来への夢を持てる作品」の素晴らしさを信じることはできません。一方で、「温かくて前向きな気持ちになれる作品を作ろう」という理想が失敗したとは思いません。『アイカツ!』は確かにひとつのことに成功したと言えます。『アイカツ!』の「温かくて前向きな気持ちになれる作品を作ろう」という理想は、「自分の傷を見たくない」という非政治的=美学的に内向した精神を持った人間を大量に生産することに成功したと。
「この幼形成熟の世紀に」より


・ツバサ・2年目・風雲急
Face it with a grin(AS!ep51:笑みで織り成されるエモ)/君の閉塞的な脳味噌に(AS!ep53:乾いた不毛とその旅・程)/Boneborne文房(その「文藝」の射程)/「ゴシック」考
・あらゆる天使は恐ろしい(『荒野の奇跡』を読む)
・この幼形成熟の世紀に
出産する二人(A!ep128:『アイカツ!』3年半の中で最も偉大な点)/手回しオルガンの歌(It ain't funky.)/「癒し」への「中毒」/RUN LIKE HELL
・Epic!!!(『MUSIC of DREAM!!!』の編曲を聴きじゃくる)
・鵺の舞い(『森のひかりのピルエット』アナリーゼ)

◎PHASE 3: TWO OF A PERFECT YEAR (NOT A PERFECT CIRCLE)
 西暦2016-2017年。のちの世界史が「21世紀最愚の時期」として名指すことになるであろう季節にあっても、『アイカツスターズ!』は一瞬も惑わなかった。100話にわたる航跡で記された孤独と闘争と製造と鍛錬と混血と懐胎の時空が展開され、無残な退行に終わった前作『アイカツ!』の試みが埋葬され、その通夜にて目覚めた「彼女」との挨拶が交わされ、自分の仕事がある料理人のための包丁が分け与えられる。

A(bove)とB(elow)の、永遠の流転のダンス。それが言葉と傷と創造をめぐる営みであった以上、こう結論することが許されるでしょう。観衆たる我々がその賭場に加わることができないとする理由はどこにもない、と。
「神域にあろうと RESPECT10 人間ができるまで」より



・黒から虹へ(『アイカツスターズ!』が「エモ」を孕むまで)
Ⅰ 1980-1985年:ティアーズ・フォー・フィアーズ/Ⅱ 2001-2006年:マイ・ケミカル・ロマンス/Ⅲ 2016-2018年:『アイカツスターズ!』/MORE EMO?(エモ音源案内)
・Songs in the kin of A!(氷上スミレサーガから『アイカツスターズ!』へと至る調性血統)
・幻聴試論(『アイカツスターズ!』1年目再訪)
・神域にあろうと(『アイカツスターズ!』2年目に捧げる11のリスペクト)
<孤独編> RESPECT1 孤独をおそれない女の子がいる(『アイカツスターズ!』、この複数形の作品)/RESPECT2 世界は広く、道はひとつじゃない(如月ツバサの道々) <闘争編> RESPECT3 勝負師、依然として(花園きららの俊足・虹野ゆめの返済)/RESPECT4 The Patients(虹野七倉:忍耐患者)/RESPECT5 言葉の闘士(桜庭 VS 花園)/RESPECT6 Don't dream it, be it(「楽しい想像」の「その後」)/RESPECT7 Chevalier de Créole(21世紀のトロバイリッツ)/RESPECT8 金星的、あまりに金星的(エルザ フォルテの眼球)/RESPECT9 大返済 <製造編> RESPECT10 人間ができるまで(「個性」が謂っていたもの)/RESPECT11 神域にあろうと(重力のあるところで 2 YEARS AFTER))
・移民どもの歌(『アイカツスターズ!』2年目の恋バナの恋バナ)
「『アイカツスターズ!』の学校観」答え合わせ/移民どもの歌/『未来トランジット』混血訳/肉桂色の夢/彼女はとってもゲイ/安藤尚也回を堪能する/ヒカル♡/エルザ様♡/『アイカツスターズ!』の疫病神様/『アイカツフレンズ!』を応援だけする

・後註
・跋:Thank You For The Venom & Fuck You For The Cure






正誤表(2018 4/3更新)

後註 神域にあろうと(『アイカツスターズ!』の2年間に捧げる11のリスペクト)
誤:(キュート・クール・ポップ属性の三名からなる)
正:(キュート・クール・セクシー属性の三名からなる)

また、『あらゆる天使は恐ろしい(『荒野の奇跡』を読む)』の・物−語(As above so below)のCD盤面の画像が抜け落ちていたため、ここに補記する。